Vol.6「自社ブランドを作ってほしい」
(有)スタジオ・オオブ/章本 明平

ここ4~5年は企業の方から「自社ブランド」の商品を販売したいというご依頼が多くなった。
今まで、材料や部品を納めていたが、その生産能力を使って商品を売り出したいという。このような設定はとても好きで、心から応援したい方なのでつい気合が入ることになる。その「自社ブランド」を作るプロセスでいくつ気になったことを記してみる。

オリジナルな製造技術を持った小さい規模の企業の方が多いので、相談はオーナーとすることになる。情熱を持った方が多いので、受ける方もかなりのエネルギーが必要とされる。
企業(オーナー)がどのような未来像を目指すのかをデザイナーと共有してから作業にかかる方が仕事が具体的に進み易いので「イメージマップ」を雑誌の写真などを切り抜いて作成する。
「こんなブランドイメージにしましょう」と提案する。するとたいていは大変喜んで目がパッと輝く(この時点で輝かないオーナーはチョット無理)。これはこれで喜ばしい限りだが、自社ブランドイメージのベースが出来たと思われるのか、その先々のイメージをどんどん自分で膨らませていかれる。それは悪くは無いけれど良い方に膨らませることはまず無い。そして先を案じる事になる。「大丈夫ですヨ。まかして下さい」と言って安心していただく。
イメージを膨らませるのは楽しいことなので、無理は無いと思うけれど、新しいブランドの新商品を作るには製造、販売、従業員など新しいイメージに対応していく準備が山ほどあるように見受けるのに「そっちの方は大丈夫ですか?」という程度。「あ~ぁ力不足」と行き届かないことに空しくなる。

イメージに合わせた「マーク、ロゴタイプ」「資材」「販売促進ツール」などのデザイン製作を進めていく途中で、その企業の「私」という主語が無いというか曖昧なのに気がついて驚く場合がよくある。
一番最初にキッチリ確認すればよかったと反省する。企業が世の中に向かって何を提案したいのか。その技術を使ってどのように消費者に勘当を提供したいのか、という点は要求する方が無理かもしれない。売りたいのは往々にしてそれは「技術」であったりする。消費者の立場でいろいろな事を観る機会が少なかったから急には出来ないことだろうと思う。けれど「解らない」ということを自覚してもらえたらな~と思ってしまう。

間違い無く性格に演奏する外国のピアニストのことをある日本の評論家の先生が、その演奏は鑑賞する側からは全く無意味というように言っておられた。それは聞く人の心を勘当に導く何かが欠けているヨという意味だと思う。
要求された課題に対してそれに応えるべくひたむきに努力し、世界的に認められる程になった製造業の企業の方が多くおられるように見受けるにつけ、その技術が人の感動を得られるようにデザインでお手伝いできるのではと思っているけれど私の単なる思い込みかもしれない。

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